人間の欲望と…『魔術』芥川龍之介|朗読 #003

「ハッサン・カンの魔術を習おうと思ったら、まず欲を捨てることです。あなたにはそれが出来ますか。」芥川が、読者にかけた魔術。その日は、雨が降っていた……。(22分)

↓ネタバレ

大森と銀座

芥川は田端に住んでいた。田端文人村と言われ、文人や芸術家が住んだ。大森も馬込文人村を形成する。少し都会から離れた、静かな郊外のイメージだろう。神奈川県に程近い大田区だ。

「電燈」で飾られた華やかな銀座。そこで、私は友人たちと享楽の時間を過ごしている。

ミスラ君は「石油ランプ」に照らされた、ボロボロの調度品の中に暮らす。欲を捨てて。

芥川のスイッチ

この『魔術』には、スイッチがある。「御婆サン。御婆サン。……」がそれだ。ここだけ片仮名で表記され、視覚的に違和感を感じるようになっている。

3つの雨音

3つの雨音がある。大森の「寂しいざんざ降りの音」、銀座の「東京の雨の音」、そして「金貨の雨」。特に、「魔術」が解けた瞬間に、大森の雨音が「ザー」っと戻ってくる感じは、秀逸。