孤独な男の末路…『山月記』中島敦|朗読


詩人を志した男。人と交わらない孤独な男は、ある夜、異形の獣へと姿を変える。「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」。男とは、こうまで哀しい生き物なのか……。

↓ネタバレ

そうして、男は虎になった

男の世界は、競争の社会である。喰うか、喰われるか。男は、誰しも、己の器量と対峙しなくてはならない。でも、実のところ、己の自負と背中合わせに、怯懦がある。おそろしい。男なら、誰しも。

李徴は、「臆病な自尊心を飼いふとらせ」、虎になってしまう。彼は 、「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」から、人と離れ、孤独に人生を過ごしてしまったのだった。

「才能の不足を暴露するかも知れないとの卑怯な危惧と、刻苦を厭う怠惰とが己の凡(すべて)だったのだ」

多かれ少なかれ、男なら誰しも感じるであろう、孤独と哀切。それが、虎の咆哮となって、響いてくる。